収集運搬
廃棄物を運搬する行為を収集運搬と言います。廃棄物の収集運搬を行うには、産業廃棄物収集運搬の業の許可が必要となります。さらに運搬物ごとに許可は必要となり、廃プラ・燃え殻など産業廃棄物の種類ごとの指定となっています。
積替保管
産業廃棄物を収集運搬する折に、処理やリサイクルの為の持ち込み先が違うケースが多くなります。物流効率化の為に、手作業にて廃棄物を分別することや、有価物を取り出すことを行います。リサイクルを考えれば大変有効な行為ですが、近隣住民にとっては悪臭や騒音などの苦情の原因となったりします。そのため、産業廃棄物の種類、保管状況や保管上限を決めて、積替保管の許可を住民同意(自治体による)の上で認めています。
産業廃棄物収集運搬業許可が必要なケースは、産業廃棄物の排出事業者から業務を委託され、産業廃棄物を処分場へと運搬する場合です。このような事業を行う場合は、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
また申請は、産業廃棄物を積む場所及び降ろす場所の双方の許可が必要となります。よって、産業廃棄物収集運搬業の許可申請をする場所は、複数にわたる場合があります。
一般家庭などから出る廃棄物は一般廃棄物とされ、産業廃棄物収集運搬業許可では収集運搬することは出来ません。産業廃棄物の収集運搬は、建設現場や事業所などから排出される産業廃棄物を収集運搬出来る許可になります。
産業廃棄物収集運搬業許可を受けるには、以下の5つの条件を全て満たしている必要があります。
●産業廃棄物収集運搬業許可申請に関する講習会を受講していること
産業廃棄物収集運搬業許可を取得するには、財団法人日本産業廃棄物処理センターが実施する産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会を受講し、修了することが必要となります。
新規課程講習会を受講しなければならないのは以下の方になります。
法人で申請する場合・・・取締役又は事業所の代表者
個人で申請する場合・・・事業所の代表者
講習会は、47都道府県で実施されています。許可申請先に関わらず受講は希望の会場・日程を選択することが出来ます。
● 経理的基礎を有していること
産業廃棄物収集運搬業(積み替え保管を除く)を的確かつ継続して行うことが出来る経理的基礎が必要となります。経理的基礎の要件は、申請先ごとに相違します。
経理的基礎とは、具体的には以下の項目で判断されます。
1.利益が計上出来ていること
2.債務超過の状態でないこと
経理状況等によって不許可となる場合、追加資料(中小企業診断士の経営診断書等)を提出することで経理的基礎の要件を満たす場合があります。
なお、経営診断書が必要かどうかの要件は、申請先ごとに相違します。
●事業計画を整えていること
許可を申請する前に、その内容が計画的に実施され、適法であり、業務量に応じた施設や人員などの業務遂行体制を整えていることが必要となります。
具体的には次の通りです。
1. 排出事業者から廃棄物の運搬の委託を受けることが確実で、産廃の種類や性状を把握できること
2. 取り扱う産廃の性状に応じて、収集運搬基準を遵守するために必要な施設があること
3. 搬入先が産業廃棄物を適正に処理できること
4. 業務量に応じた収集運搬のための施設があること
5. 適切な業務遂行体制が確保されていること
●欠格要件に該当しないこと
申請者(個人事業主、法人の役員、株主または出資者)が下記の欠格事由に1つでも該当する場合は許可を受けることが出来ません。また、許可後においても下記欠格事由に1つでも該当した場合は許可の取り消し処分を受ける場合があります。
1. 成年被後見人あるいは被保佐人又は破産者で復権を得ない者
2. 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から5年を経
過しない者
3. 暴力団員又は暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者
4. 法人で暴力団員等がその事業活動を支配するもの
5. 下記の法令等に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行をおわり、又は執行を受けることが
なくなってから5年を経過しない者
■廃棄物処理法
■浄化槽法
■大気汚染防止法
■騒音規制法
■海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律
■水質汚濁防止法
■悪臭防止法
■振動規制法
■特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律
■ダイオキシン類対策特別措置法
■ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法
■暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(第31条第7項を除く)
■刑法第204条(傷害罪)
■刑法第206条(傷害助勢罪)
■刑法第208条(暴行罪)
■刑法第208条の3(凶器準備集合・結集罪)
■刑法第222条(脅迫罪)
■刑法第247条(背任罪)
6. 廃棄物処理法、あるいは浄化槽法の違反により許可を取り消され、その取り消しの日から5年を経
過しない者
●収集運搬に必要な施設があること
運搬施設の要件申請者は、産業廃棄物が飛散、流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬容器等を有すること。また、継続的に運搬施設等の使用権限を有する書類(車検証など)を提出する必要があります。
産業廃棄物の種類 具体的な対策例
産業廃棄物の種類 | 具体的な対策例 |
---|---|
汚泥 | ドラム缶、または水密仕様ダンプ車・汚泥吸引車で運搬 |
廃油 | 密閉可能なドラム缶を使用して運搬 |
廃酸 | 密閉可能な耐酸性・耐アルカリ性のプラス蓄容器で運搬する |
燃え殻・ばいじん・動物性残さ・鉱さい | 密閉可能なドラム缶などで運搬 |
動物の死体 | ドラム缶、または水密仕様ダンプ車・汚泥吸引車で運搬 |
産業廃棄物収集運搬業(積み替え保管はなし)の新規許可申請に必要な主な添付書類は、下記の通りです。
法人で申請する場合
・産業廃棄物収集運搬業許可申請書
・事業計画の概要を記載した書類
・事業所付近見取図(事業所、車庫地)
・車両の写真(使用する車両の全ての写真。一台ごとに斜め前方・後方の対角線上の計2枚の写
真)
・車検証のコピー(車両を借りている場合)
・車両使用承諾書
・車庫用地の登記簿謄本(車庫用地を借りている場合)
・駐車場使用承諾書
・運搬容器等の写真(廃棄物を容器を使って運搬する場合)
・定款の写し
・法人登記簿謄本
・欠格事項に該当しない旨の誓約書
・申請者、法人役員、政令使用人の住民票(本籍記載)
・申請者、法人役員、政令使用人の「成年後見登記制度における登記されていない事の証明書」
・産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会の修了証のコピー
・所要資金及び調達方法説明書
・直前3年間の貸借対照表
・直前3年間の損益計算書
・直前3年間の法人税納付証明書
個人で申請する場合
・産業廃棄物収集運搬業許可申請書
・事業計画の概要を記載した書類
・事業所付近見取図(事業所、車庫地)
・車両の写真(使用する車両の全ての写真。一台ごとに斜め前方・後方の対角線上の計2枚の写
真)
・車検証のコピー(車両を借りている場合)
・車両使用承諾書
・車庫用地の登記簿謄本(車庫用地を借りている場合)
・駐車場使用承諾書
・運搬容器等の写真(廃アルカリ等を運搬する場合)
・住民票(本籍記載)
・欠格事項に該当しない旨の誓約書
・「成年後見登記制度における登記されていない事の証明書」
・産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会の修了証のコピー
・所要資金及び調達方法説明書
・資産に関する調書
・直前3年間の所得税の確定申告書の写し
・直前3年間の所得税納付済証明書
・直前3年間の貸借対照表・損益計算書(青色申告の場合)
・直前3年間の収支内訳書(白色申告の場合)
産業廃棄物収集運搬業を引き続き営むには、5年ごとの更新が必要となります。また、許可を受けた内容に変更が生じた場合は、下記の区分に従い、各種届出を行う必要があります。
更新許可申請手続
許可の有効期間は5年です。許可証に記載してある有効年月日を過ぎますと翌日から許可は失効します。
有効期限後も引き続いて業務を行おうとする場合は、許可期限の2ヶ月前までに更新許可の申請を行う必要があります。
更新申請をするには、更新講習会の修了証が必要となります。また、経理的要件を満たさない場合は、更新許可が下りない場合があります。
変更許可申請手続
次のような場合にはあらかじめ変更許可を受ける必要があります。
1. 業種を拡大する場合(例:積替え・保管行為を新たに行う場合)
2. 取り扱う産業廃棄物の種類を追加する場合(例:がれき類・木くず→がれき類・木くず・紙くず)
3. 処分方法を拡大する場合(例:破砕→破砕・焼却)
変更届手続
次のような場合には、変更が生じた日から10日以内に届け出をしなければなりません。
1. 氏名又は名称・政令で定める使用人・法定代理人・法人にあっては役員・100分の5以上所有している
株主・出資者等を変更した場合
2. 住所及び事務所並びに事業場の所在地を変更した場合
3. 運搬車両・運搬船など収集運施施設を変更した場合
4. 事業の一部廃止(取扱う産業廃棄物の種類の減少、業種の縮小等)
廃止届け手続
産業廃棄物処理業者は、事業の全部若しくは一部を廃止したときは、廃止した日から10日以内に都道府県知事(政令市は市長)に届け出を行う必要があります。
廃止の届出の際、許可証を返納しなければなりません。