一方、表彰式でのブーイングや、試合中のセリーナ・ウィリアムズ選手の審判へのクレームに対する措置等も大騒ぎ。個人的には、自由を標榜するアメリカの「黒歴史」を垣間見た気がします。
そんな意味で、「The大坂なおみ騒動」は、様々な角度から考察が出来る題材と言えるでしょう。
兎角、日本人は「日本人初」とか「日本人史上初」と、冠詞が大好きですね。しかし、今回の騒動で、異論が散見されます。
「大坂なおみ選手って日本人?」と言うのです。
ところで、皆さんは自分自身が「日本人」であることを、どんな時に実感、認識しますか?外国へ行った時には勿論実感しますね。
日本国内で生活していると、その認識は殆どありませんが、、、
法的視点から、日本人について、大坂なおみ選手を例にとって、お話を進めてみましょう。
そもそも「日本人」であるということは、「国籍が日本」ということは、お解りだと思います。
余りにも当然のことなので、「何をいまさら」とお思いかもしれませんが、これは国よっては当然ではないのです。
そもそも「国籍」とはいったい何でしょう。
国籍は「個人の特定の国家の構成員たる資格」をいいます。つまり、日本の憲法に規定されています、「国民の権利義務」の主体となることができ、国内居住権や、参政権等が得られ、これらは国籍の有無によって影響を受ける権利ということができるのです。
そこで、先ず、大きな単位として国を考えてみましょう。
国が存立するために、領土と「国民」は不可欠ですね。どの範囲の人をその国の「国民」として認めるかは、それぞれの国の歴史,伝統,政治・経済情勢等によって異なります。つまり、それぞれの国、国家自らが国民として、決定することができるのです。
日本の場合は憲法で「日本国民たる要件は、法律でこれを定める」(憲法第10条)として定められています。ここで言う法律とは「国籍法(昭和25年法律第147号)」を指し、同法で、日本国籍の取得及び喪失の原因を定めています(国籍法第2条他)。
国民はその国家に属する、つまり「国籍」を取得し、権利義務をも取得することになるのです。
話しを大坂なおみ選手に戻します。
彼女の両親は、父親がハイチ人、母親が日本人です。
国籍法では、「出生の時に父又は母が日本国民であるとき(同法第2条第1項)」は日本国民と定めています。「出生」に関しては、その他にも2つのケースがあり、何れかにあてはまると、日本国民と定めています。
だから「じゃあ、やっぱり大坂なおみ選手は日本人じゃん!」と言いたいところでしょう。
それはそうなんですが、ところがこの場合、短絡的に結論を出すことが出来ず、外国法の適用をも考える必要があるのです。何故なら彼女の父親がハイチ人であり、彼女が3歳からアメリカに居住していたことが影響するからです。
また、出生地が何処なのかによっても、影響を及ぼし、国籍付与方法として二種類あります。
「血統主義」と「生地主義」です。
因みに前者は日本、後者はアメリカ等が採用しています。
つづく…